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進撃の巨人に関する小ネタ投下場所。 基本は右ジャン。右ジャンは雑食です。にょたジャンあり。 時々、管理人の呟きが入ります。
14 . June
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29 . July

ローソンの甚平ジャンを見て、このお題を書くのは必然だと思ってますよ?
取り敢えず、甚平の右ジャン詰め込み小ネタ集です!
マジで1日の就業時間に書き上げられたことを奇跡だと思ってるw

仕事なかったから、殆ど仕事してないけど!
今日の仕事は『コレ』だったんだと自分に言い聞かせるしかないですね!
面子的には通常運行だと思いましたw

山奥ジャン、リヴァジャン、ナイジャン+アニ、エルジャン、エレジャン。

全くブレることがなく、何の斬新さもないとか笑えるw
コニジャンとかマルジャンとか書いたことのないものを書くのも悪くないですが…。
書きやすさでいくと、もう固定されてしまうので許してください!

上記を見て「クッソー! 読みたかったの、コレじゃねェよ」とか思った人。
全く冒険心のない管理人で申し訳ない!
就業時間内に書き上げようとしか考えてないからw

地雷があった場合は、其処をスルーしてくださいませ!
そんな面倒なことはしたくないという方は回れ右でお願いします。
読んでから「地雷だから!」とかは困りますので…。


下記のサイト様から拝借しております。

【確かに恋だった】
 管理人:ノラ
 URL:http://have-a.chew.jp/
 携帯:http://85.xmbs.jp/utis/


右ジャンもぐもぐという方のみ、「つづき」より御閲覧ください。
因みに全て健全でキスすらしてないものばかりです。
何の刺激はありませんので、ご注意をwww

少しでも楽しんでいただけますように!



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1.金魚すくい(山奥ジャン)


今、ジャンとライナーが金魚すくいの前で真剣な顔をしている。
その光景を僕は斜め後ろくらいから立ったままで眺めていた。
どうやら、金魚すくいで勝負をしているようだ。

「はい、ライナーの負けー!」

「それはオカシイ。 お前も一匹も掬えてないじゃないか」

二人とも下手クソすぎて、僕はクスクスと笑ってしまう。
先程から何度もチャレンジしているのに二人とも一度たりとも金魚を掬えていない。
僕から見ると二人とも負けだと思うけどね。

甚平を身に着けたジャンと僕が選んだ浴衣を着てるライナー。
この年齢にしては充分な体格をしている二人が金魚すくい屋の前を陣取っている。
正直、店の人から見ると二人とも邪魔だと思うよ?


「二人とも負けってことで良いんじゃないかのかな?」


あれこれ五本のポイを無駄にして、更には一匹も掬えてないんじゃ駄目でしょ。
僕の言葉が気に入らなかったらしい二人は、しゃがんだままの状態で僕を睨み付けてくる。
まあ、そんな目で見られたところで僕は怖くもなんともないんだけど…。

「それに店の人が迷惑してるから、早く退いてあげなよ」

スクッと立ち上がったジャンに僕は漸く諦めたのかと小さく息を吐く。
後ろでユラリと立ち上がるライナーも見えたので僕は次に行く場所を探した。
そうすると唐突にジャンが僕の着ている浴衣の胸倉を掴む。

身長差も体力的な差もあるから、この光景は少し滑稽に見えるかもしれないと頭で考えた。
立ち上がったライナーはジャンを引き剥がしてくれると思っていたのに…。

「ベルトルト、俺たちと勝負だ」

思ってもいなかった言葉に僕は呆気にとられてから堪えきれずに笑ってしまう。
だって、あれだけ掬えなかったのに僕に勝負を挑むなんて…。
頭の中がドンキホーテにでもなったのかな?

「僕、勝敗が分かってる無駄な勝負はしない主義なんだ」

この下手クソな二人に負ける気がしないし、どちらかというと僕は器用なほうだ。
余計なことを言っちゃったかもしれないと思っていると案の定の結果。

二人はコメカミに血管を浮き上がらせている。
いやいや、そんなところでガチギレされても僕が困るんだけど…。

「分かったよ、その勝負を受ければ良いんでしょ?」

「「絶対に負かしてやる!」」

「無理だと思うけどね」

小さく息を吐きながら、二人には聞こえないように呟いた。
優しいと思われていても僕は勝負になると『負けてあげよう』なんて思わない。
どんな相手にも全力を出して、戦わせてもらうからね?

「ただの勝負だと面白くないから罰ゲームでもしようか?」

その提案に二人は綺麗に「望むところだ!」と声をハモらせている。
余りに息がピッタリで少しだけ妬けちゃうじゃないか。
三人で考えた結果、『負けたほうは勝ったほうの言うことを何でもきく』という有り触れたもの。

さて、二人には何をしてもらおうかな。
勝ったときのことしか考えていない僕は店の人からポイを受け取った。
ヤル気満々なのは良いけど、そのヤル気が空回りする気がしてならないよ。

「「絶対に勝つ!」」

うーん、ちょっと妬けちゃうな。
真剣な眼差しで金魚を狙ってる二人を眺めると僕も金魚すくいに挑むためにしゃがんだ。
この二人を相手に小物を狙って勝ちなんていうのは面白くも何ともないな。

掬いにくそうな出目金でも狙ってみようかな。
これなら流石に諦めてくれるでしょ。
どうせ勝つなら、徹底的に勝ちたいからね。

「はい、これで僕の勝ちだね」

二人は小物を数匹狙いという作戦だったみたいだ。
持っているカップの中には小さな金魚が三匹泳いでいる。
しかし、僕のほうには大きな出目金のほかに大きい部類に入る金魚が五匹。

「お前、ポイに細工しただろ!」

ジャン、それは言い掛かりにも程っていうものがあるよ。
この店員さんと初対面なのにポイに細工なんか出来るわけないでしょ。
店員さんも苦笑いで「そんなことしてませんよ」とジャンを宥めている。

悔しそうな二人を尻目に僕はカップの中の出目金たちを元の場所に返してあげた。
飼うのも面倒臭そうだし、そんなに興味のある魚でもないしね。

「じゃあ、二人は罰ゲームだね」

「「うっ…」」

二人が「望むところだ」と言ったことなんだから、それを無碍にすることなんか出来ないよね?
ジャンは財布を取り出して、お金の確認なんかしてるんだけど…。
僕が金を払えとでもいうと思ってるのだろうか。


「来年も一緒に来ようね、夏祭り」


僕の言葉にジャンもライナーも表情を綻ばせて、僕の首元に抱きついてきた。


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2.手をつないで(リヴァジャン)


正直、言うと人混みというのは嫌いだ。
行楽シーズンになると観光スポットに行列を作る光景を見るだけでウンザリする。
そんな俺が何でだか近所でやっている夏祭りに来ていた。

好きな人間に「一緒に行こう」と誘われて断れるほど野暮ではない。
目の前では俺より身長の高い少年が無邪気に笑っている。
色んな出店を眺めながら、ハシャいでいる姿は年相応に見えた。

「オイ、あんまウロチョロすんじゃねェ…」

俺の言葉が聞こえていないのか無視をしているのか。
出店に目を輝かせているジャンには何の効果もないように見える。
大規模な夏祭りではないが、それなりに人混みと化していた。

「あの! チョコバナナ、買ってきてもイイですか!?」

「あ? 好きにしろ」

あんな甘い果物にチョコレートをトッピングするとか胃もたれしそうだ。
何だか年齢を感じてしまい、俺は小さく息を吐いた。
ジャンは出店の前で笑顔でチョコバナナを購入している。

俺は先程の出店で買った缶ビールを傾けていた。
氷水に冷やしていただけのものは少しだけ温くなっている。
冷えたうちにと俺は残っていたビールを一気に煽った。

「あ、カキ氷!」

「お前、どれか食ってからにしろ…」

片手にはチョコバナナ、もう片方にはフランクフルト。
成長期なのは分かっているが、その状態でカキ氷が食えるとは思わない。
自分の塞がっている両手を見てからジャンはフランクフルトとチョコバナナを交互に食べ始めた。

「お前の味覚、間違いなくオカシイだろ…」

その食い合わせは絶対に悪いとしか思えない。
食べるのを見ているだけで何だか胃の辺りが気持ち悪くなってくる。
食べながら喋りそうだったので「飲み込んでから言え」とだけ口止めをしておいた。

平気な顔で両方を食い終わったジャンは満面の笑みを浮かべている。
口元はチョコやらケチャップやらでベタベタだが…。

「アンタと一緒なら、何だって美味しいですよ!」

こういう殺し文句を無邪気な顔で言い放つのだから困りものだ。
呆れたように息を吐くと懐に入れておいたポケットティッシュを一枚取り出した。
それからジャンの甚平の胸倉を掴んで自分のほうに引き寄せる。

「食い散らかしてんじゃねェよ…」

「知らないでしょ? 俺、アンタの前でしか食い散らかさないんですよ?」

ジャンの言いたいことは何となく俺に伝わった。
こうして口元をベタベタにしておいたら、俺は間違いなくジャンの口元を拭くからだ。
良いように動かされていた気分になってしまった俺はジャンの額にデコピンを喰らわせる。

余り加減はしなかったので相当な痛さのようだ。
額を押さえたままで恨めしげな表情で俺を見つめてくる。
そんなジャンを眺めながら、俺は「ガキが大人をからかってんじゃねェよ」とだけ告げた。

「ね! 両方、食べ終わったんですからカキ氷!」

「お前、腹壊すぞ…」

「別にカキ氷を何杯も食べるわけじゃないんですから大丈夫です!」

俺の手を引っ張るとジャンは俺の意見など聞きもせずにカキ氷の店へと向かう。
そして、あろうことか店の人間に「メロンとブルーハワイを1つずつ!」と言いやがった。
訝しげな表情を浮かべた俺にジャンは「メロンはアンタのですからね?」と答える。

「だって、ビールもなくなったんで喉が渇くでしょ?」

「それをカキ氷で水分補給しろってか?」

「はい、良い考えでしょ?」

「テメェがメロンとブルーハワイの両方を食いたかっただけだろ…」

「バレました?」

悪びれもなく笑うので俺も怒るような気力は沸かずに金を支払った。
二つのカキ氷を受け取るとブルーハワイをジャンのほうへと手渡してやる。
それから適当なベンチを見つけて、二人でカキ氷を食べた。

たまに俺のメロンを突いてくるので俺もブルーハワイを突いている。
カキ氷なんか食ったの久し振りだななんて思いながら、ストローのスプーンでシャクシャクと山を崩した。
食い終わる頃にはカップを持っていた手がヒンヤリと冷たくなっている。

「ッ…!」

突然、冷たいジャンの手が頬に触れてきたので俺の身体が反射的に大きく震えた。
ジトリと睨み付けると反省を全くしていないジャンの笑顔がある。
こんな祭りの日なので今日だけは許してやろう。

「アンタの手も冷たい」

「当たり前だ」

「じゃあ、俺が手を繋いで温めてあげますね」

その顔を見て、カキ氷を食う本当の意味を理解した。
コイツは策士だと思っているとジャンは俺の左手をギュッと右手で握ってくる。
冷えてしまった手が温かいジャンの手で包まれた。

メロンとブルーハワイの両方が食べたかったんじゃない。
こうして俺の左手を冷たくすることが本来の目的だったんだろう。
軽い末端冷え性な俺の手は少し握っただけでは温かくはならないのを知った上でだ。

「まだ温まりそうにありませんね」

「お前は知ってて、やったんだろうが…」

「手を繋いでるほうが迷子にもならないでしょ、身長低いし…」

「蹴るぞ、テメェ…」

「浴衣姿だと蹴りにくいと思いますよー?」

そこまで考えていたら、相当な策士だと思う。
ニヤニヤと笑っているジャンに空いている右手で思い切りデコピンを喰らわせた。
余りの痛さに声が出ないのか、ジャンは左手で額を押さえている。


「丁度、冷えてる手があって良かったな」


嫌味をこめて、俺は口元に笑みを描いた。


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3.縁側で夕涼み(ナイル←ジャン+アニ)


今日は近所で小規模な夏祭りをするらしい。
最近、仕事が立て込んでいたということもあってか俺の身体は限界に近かった。
出来れば、人混みに行くよりは家で身体を休めたいのが本音だ。

家族サービスも出来ていなかったので寂しい思いもさせただろう。
身体は行きたくないと警鐘を鳴らしているのが分かったが、下手に断ることも出来ない。
取り敢えず、雰囲気だけでもと滅多に着ない甚平に腕を通す。

「無理しなくても良いのよ」

「折角の祭りだろ?」

「此処で無理をさせて、貴方が倒れたら困るもの」

「今のお前に無理はさせられん」

「もう安定期だから大丈夫よ」

言い出したら、俺の言うことすら聞かない。
苦笑いを浮かべるとマリーに「すまん」と小さく頭を下げた。
子どもたちが俺が行かないことに文句を言っているのが隣の部屋から聞こえてくる。

しかし、俺の家では子どもにとって母親の言葉は絶対的なものになっていた。
渋々といった様子ではあるが、納得したように玄関へと向かう。

「いってきまーす!」

「おう、楽しんでこいよー!」

縁側に寝転んでいると祭囃子が遠くのほうから聞こえてきた。
昼間の暑さは尋常ではないが、日が暮れると気温もかなり下がってくる。
風が吹いてくれれば、特に空調を使う必要もなかった。

ふわりと匂う蚊取り線香の匂いに夏を感じる。
こういうときに縁側を作っておいて良かったなァと実感したりする。

ピンポーン

誰かが来たようで呼び鈴が家の中に響いた。
マリーも子どもたちも留守のため、必然的に家には俺しかいない。
面倒臭いと思いながらも俺は玄関のほうへと足を向ける。

「あ、こんばんわ!」

「おー、どした?」

其処に立っていたのは教え子であるアニとジャンの姿。
アニは黒に鮮やかな花の柄があしらわれた浴衣でジャンは甚平を身に着けている。
今から祭りにでも行くのだろうかと思ったが、その考えを打ち消した。

「まあ、上がっていけ」

二人の両手には色んな祭りの食べ物やらが溢れていたから。
家に上げてから縁側に案内してから俺は冷蔵庫から麦茶と缶ビールを取り出した。
それを両手に持つと、さっきまで寝転んでいた縁側へと向かう。

縁側に座っている二人に暑くないか尋ねると二人とも首を横に振る。
持ってきたグラスに麦茶を注いでやり、二人に差し出した。
二人とも小さく頭を下げるとグラスに口を付けている。

「あ、これ! 色々と買ってきたんで食べましょうよ!」

生徒の奢りってのも気が引けるので俺は遠慮しようとしたが…。
反論を許してくれなさそうなアニがチラリと俺のほうに視線を向ける。
これは有り難く頂くことしかなさそうだ。

「じゃあ、遠慮なく…」

アニは持っているイチゴのカキ氷をストローのスプーンで何度か突き刺してから掬っている。
ジャンはタコ焼きを一口で食べてしまったせいか、熱そうに口をモゴモゴさせていた。
そんな二人を眺めながら俺はビール缶を開けると綿アメの封を開ける。

フワフワとした雲のような綿アメをペロリと舐めると甘い味が口に広がった。
懐かしい味だなと思いながら千切っては口の中で溶かしていると二人の視線に気が付いた。

「おっさんが綿アメ好きなんてキモイとか思ってんだろ」

「「いや、別に…」」

一口サイズに千切るとアニの口元に綿アメを持っていくが、物凄く嫌そうな顔を顰めている。
綿アメが嫌いなのか、それとも俺が千切った綿アメだから嫌なのか。
間違いなく、後者だろうと思った俺はジャンの口元に持っていく。

「は、えッ!?」

「お前も俺が千切った綿アメが食えないとか言うのか?」

「い、言いませんけど…」

「じゃあ、あーん!」

その言葉にジャンの顔が赤くなったのには気が付いた。
まあ、この年になると「あーん」なんて恥ずかしいに決まっているだろう。
俺の気迫に押されてかジャンは口を開けるので、その中に綿アメを放り込んでやった。

アニは俺の持っている綿アメの更に食べられた気配のないところを千切っている。
顔は可愛いのに、することはホントに可愛くない。
そんな感じで買ってきてくれた戦利品を三人で分け合いながら食べた。

「この場所、好き…」

ボソリと言ったアニの言葉に俺は小さく首を傾げる。
チリンチリンと上品な音を立てながら、飾ってある風鈴が小さく鳴っていた。
そのアニの言葉にジャンも「俺も、好きだな」と小さく呟く。

「縁側で夕涼みなんて、なかなか出来ねェからな」

「うん…」

暫く三人で夕涼みをしていると遠くで大きな音がした。
音のしたほうを三人で見遣ると夜空に綺麗な華が咲いている。
近くではないので腹に響く音はしなかったが、見応えのある景色ではあった。

夕涼みをしながら、花火を見て、ビールを煽るなんて…。
こういうのも悪くないと思いながら、俺は二人に「有り難う」と感謝の言葉を告げた。


花火に照らし出された二人の顔が仄かに赤かったことは見なかったことにしよう。


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4.線香花火(エルジャン)


私の仕事の都合で約束していた夏祭りに行くことが出来なかった。
その日を楽しみにしていたのを知っている分、私は申し訳ない気分で仕方がない。
しかも、私の前では我侭を言わないジャンは「仕事なんですから」とフォローまでしてくれる。

申し訳ない思いでいる私を気遣っての言葉というのは重々に理解をしていた。
しかし、こんなときでさえ年下の彼に気を遣わせる自分が嫌になる。
埋め合わせにはならないが、私は些細な計画を立てていた。

『え? 今週末ですか?』

「ああ、君の予定が空いていればね」

『無理矢理にでも空けますから大丈夫です!』

「それなら、夏祭りで着る予定だったものを身に着けて私のマンションにおいで」

私の言葉にジャンは不思議そうに『はァ…』と返事とも言えない言葉を洩らしている。
そんな彼の曖昧な返事に「週末の楽しみだよ」とだけ言ってから電話を切った。
一応、予定は確保できたので私は些細な計画を実行すべく動くことにする。

仕事の合間に色々と用意をしていると瞬く間に週末がやってきた。
出来る範囲のことまでは出来たので私は夏祭りに着ていく予定だった浴衣に腕を通す。
それから簡単に部屋の掃除を終わらせた頃にインターフォンが鳴った。

『おはようございます!』

「ああ、おはよう」

オートロックを解除して、少ししてからマンションのチャイムが鳴る。
玄関のドアを開けると甚平を身に着けたジャンがペコリと小さく頭を下げた。
なかなか新鮮な姿だと思いながら、私は部屋の中へとジャンを招き入れる。

「な、何ですか、コレ…」

ダイニングとリビングを見たジャンは目を丸くしていた。
そう言いたくなるのも無理はないだろうと私は作戦成功だとクスクスと笑う。
其処に用意されている様々な器具にジャンはキョトンとしていた。

「少しでも夏祭りの気分を味わえないかと思ってね」

家庭用のものではあるが、それなりのものを揃えたつもりだ。
チョコフォンデュ用の機械にタコ焼き機にカキ氷機に焼きそば用のホットプレート。
材料も色々と用意はしてみたので色んなアレンジは出来るだろう。

借りたものもあるので殆ど出費はしていない。
呆然としているジャンをソファに座らせると漸く我に返ったようだ。

「いやいやいや! 何なんですか、コレ!」

「夏祭り的な気分を味わうための道具だよ?」

外は暑かっただろうと思いながら、私はカキ氷用の氷を機械にセットする。
それから説明書通りにすれば、ガラスの容器に白いカキ氷の山が出来た。
折角、用意したのだからと私は虹色になるようにシロップを掛ける。

「はい、どうぞ」

「…エルヴィンさん、することが半端じゃないですね…」

「どうせ楽しむなら、思い切り楽しまないと勿体ないだろう?」

「虹色のカキ氷なんて、出店じゃ食えませんもんね!」

漸く笑顔を浮かべたジャンの姿を見て、私は自分の分のカキ氷を用意した。
出店では食べれないであろう抹茶小豆のカキ氷にジャンはケラケラと楽しそうに笑う。
私は抹茶小豆のカキ氷を食べながら、ジャンの虹色カキ氷を分けてもらった。

昼には少し早かったが、一緒に焼きそばを作ったり、タコ焼きを作ったりと大いに楽しんだ。
タコ焼きは二人とも経験がないということでタコが表面から見えていたりした。
ロシアンタコ焼きと名付けて、中の具に色んなものを入れたりと遊ぶことも出来た。

「ヤッベェ! こんなのだったら、普通の夏祭りより楽しいかも!」

「来年は皆を誘っても楽しそうだね」

「そうっすね」

チョコフォンデュも気に入ってくれたようでイチゴをダンクしている。
室内なので夏祭り独特の暑さが感じられないが、これはこれで快適なので良いだろう。
私も切り分けたバナナに串を刺して、チョコの中にダンクした。

「少しは夏祭り気分を味わってもらえたかな?」

「これは少しってより、かなり味わった気がします」

「それは良かった」

色々と作ったり食べたりしてる間に時間というのは早く過ぎていく。
太陽が沈んでしまい、明るかった空も暗くなってきた。
本当の約束の日であれば、打ち上げ花火を見る予定だった。

しかし、流石に打ち上げ花火を用意することは出来ない。
こればかりは申し訳ないと思いながら、私は家庭用のセット花火を購入した。

「後で近くの公園で花火をしよう」

「そんなとこまで用意してるんですか?」

「流石に打ち上げ花火を用意できなかったからね」

「されたら、マジで引きます」

二人でキッチンに並んで容器の洗い物をしながら会話をする。
こうして後片付けをするのも小さな醍醐味かもしれないと私は小さく笑った。
色々とあったものを片付けてしまうと普段通りの私の部屋になる。

「後片付けも終わって、時間も丁度良いから公園に行こうか」

「はい!」

近くの公園に着くとバケツに水を汲んで手持ち花火を二人でやった。
最近では色々な花火があるのだなと思いながら花火の先端に火を付けた。
そして、最後まで残しておいた線香花火。

これは今も昔も変わらないままの花火だ。
色鮮やかな花火も好きだけれど、小さな火花を散らす線香花火が私は好きだ。

「何か寂しいッすね…」

小さく火花を散らしている線香花火を眺めたジャンは小さく呟いた。
この子の言う寂しいとは何が寂しいのだろうかと考える。
線香花火の落ちる様だろうか、それとも一瞬で消え去る火花のことだろうか。

「花火のことじゃないッすよ? 今日が終わることが寂しいんです」

相変わらず、頭の回転の速い子で私のほうが困ってしまう。
確かに今日は色々と楽しくて、それが終わってしまうというのは少し物悲しい。
苦笑いを浮かべた私は「確かに少し寂しいね」とジャンの意見に同意した。

「あ、また落ちた…」

「ジャンは線香花火が苦手みたいだね」

「こんなの得手も苦手もないでしょ」

「じゃあ、次は私と勝負してみるかい?」

挑発するように言うとジャンは思っていた通り、私の提案に挑んでくる。
次の一本で勝負をしてみたが、ジャンの線香花火の玉は早々にポトリと落ちてしまう。
悔しそうにしているジャンを見つめて私はクスクスと笑った。

むくれているジャンを宥めるように頭をポンポンと軽く叩いた。
線香花火を長持ちさせるコツというのがあるのをジャンは知らないようだ。

「これにはコツがあってね、火の玉が出来てから持ち方を斜め45度にすると良いんだよ」

「やっぱ、得手とか苦手とかじゃないじゃん!」

「それは君の知識不足だね」

私の線香花火が消えるとジャンは最後の二本を取り出した。
片方を私に渡したジャンは「もう一回、勝負しましょう」と提案してくる。
コツを試してみたいのだろうかと思いながら、私は笑顔で「構わないよ」と答えた。

「俺のほうが長持ちしたら、来年も二人でプチ夏祭りしましょう」

「じゃあ、私のほうが長持ちしたら?」

「来年は皆でプチ夏祭りしましょう」

「夏祭りすることと私と一緒にいてくれることは変わらないんだね」

「当たり前です! あと、真剣勝負ですからね!」

勝負事に私が手を抜かないのは知ってくれていると思うんだが…。
小さく笑って「分かってるよ」と答えると線香花火での勝負が始まった。
私の言ったコツを利用しながら、ジャンは真剣な目で線香花火を眺めている。

真剣に取り組んでいたのだが、人間としての生理現象には勝てない。
それなりに良い所まで長持ちしていたのだが、私のクシャミにより火の玉は落ちてしまった。


「俺の勝ちなんで、来年も二人でプチ夏祭り決定です」


得意げな表情をしているジャンを見て、私は今日の計画が成功したことに安堵した。


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5.夜空の下で(エレジャン)


楽しげな祭囃子が鳴り響いている中で途轍もなく不機嫌な顔をした男が隣にいる。
祭りなんだから少しくらい楽しそうな顔をしろよとかいう問題ではない。
些細な言い争いをしている間に俺とジャンはアルミンやミカサたちと逸れてしまったのだ。

言い争い自体は何時もと変わらないホントに些細でツマラないこと。
焼きそばの量が多いとか少ないとか、今から考えると笑えるレベルでどうでもいいこと。

「見つかんねェな、アルミンとミカサ」

「ケータイは?」

「さっき着信があったから折電したけど、留守電に切り替わった」

「人混みに紛れてても仕方ねェからよ、どっか人のいなさそうなとこに移動しようぜ」

確かに闇雲に人混みを歩いていても仕方ないので俺はジャンの提案に頷いた。
取り敢えず。この出店通りを抜けたところにある河川敷へと向かう。
さっきまでの暑さは何だったのかと思うほどに涼しい。

二人で襟元をパタパタとして、身体に残る暑さを払った。
ふと空を見上げると星が綺麗に輝いている。
綺麗だなと思っていると、打ち上げる音の後に花火が夜空を彩った。

「あ…」

勿論、夜空に咲く大輪の華は綺麗だと思う。
それでも花火の輝きによって、ずっと輝いている星が微かに翳ってしまった。
祭りに来ている人は色取り取りの夜空の大輪に感嘆の声を洩らす。

「何か寂しいよな」

「へ?」

「あんなに星が綺麗なのに、誰も見てねェとか寂しいよな…」

「俺も、同じことを考えてた…」

何時もだったら「お前と一緒とか最悪」とか返してくるくせに今日は「そっか」の一言だけ。
他の奴らは花火に釘付けだったけど、俺たちは花火じゃなく星を眺めてた。
確かに大輪の華は綺麗で一瞬で儚くて綺麗だ。

でも、どうしてなんだろう。
俺は一瞬の花火よりも煌々と輝く星のほうが好きだと思った。

「「 あ 」」

二人で声をハモらせて、その後に驚いた顔で互いの顔を見つめ合う。
それから確認するように「今の見た?」と尋ねるとジャンは「おう」と答えた。
顔を見合わせたままで先程と同じように「「流れ星」」と声をハモらせる。

「また流れねェかなー…」

「流れ星も花火も似たようなもんだな」

「確かに、そうかも…」

そして、二人で花火ではなくて夜空に輝く星を眺めていた。
ジャンとは違う方向の空を眺めているとタイミングよく流れ星が見える。
呟くように「見えた」と言った後にジャンは俺のほうを見るが、もう見えなくなってるに決まっている。

それから俺は何度か流れ星を見ることが出来たが、ジャンは全く見れなかったそうだ。
傍から見たら、こんな良い場所で何を見てんだって思われんだろうな。

「俺と同じとこを見てたら良いんじゃねェの?」

「お前と同じ場所を見るとか目が腐る」

「絶対に見つけらんねェよ、お前」

河川敷に横たわって、ジャンと二人で夜空を眺めている。
こういうのも悪くないなと思っていると懐に入れていたスマホが振動したのに気が付いた。
相手はアルミンかミカサだろうなと思いながら、俺は着信を無視することにした。

「冬になったら、もっと綺麗なんだろうな…」

「まぁ、そうだろうな」

「浴衣と甚平ってわけにはいかないけど、また一緒に夜空を眺めに来ないか?」

「…暇だったらな…」

コイツの性格からして絶対に嫌だったら、嫌って断るだろう。
少しは期待をしても良いのだろうか、そんなことを思いながら星を眺めていた。
すると、一筋の流れ星がハッキリと見つけることが出来た。


『冬もコイツと一緒に星空が見れますように』


三回も頼むことは出来なかったけど、何だか願い事は叶いそうな気がした。


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